【葉】

がハオの許嫁になった。
いつかこんな日が来るんじゃないかって予想はしてたけど、
まさかこんなに早くに来るとは思ってもみなかった。
少なくとも、今じゃなかった。

それでもハオはに好きだって言った。
そしてもそれを承諾した。

それを真っ先に知る事になったのはオイラだった。

オイラが縁側で転寝をしていると、
庭の向こうからハオとが並んで歩いてきて、
うつらうつらとするオイラの目の前で止まった。
二人ともどこか気まずそうで、それでも真剣な瞳をしていた。

「…ごめん、葉。僕たち、婚約したよ」

そう言ったハオの手は、の手をしっかりと握っていた。
瞬間、オイラは転寝どころじゃなくなって、
慌てて飛び起きた。

「ハ、ハオ…!? 本気で言ってるんか!?」

まさに寝耳に水だった。
けれど二人は黙って頷くだけだった。
そして、二人して『ごめん』と繰り返した。

「葉には一番先に知ってほしかったの。葉は、一番近い人だから」
「そ、そっか…」
「うん、そう。…ごめんね」

そう言っては困ったように笑って、
オイラを抱き締めてくれた。
それは優しくて厳かで、何かの儀式みたいだと思った。

何となく、いつかはこういう日が来るんじゃないかって思ってた。
ハオは明らかにが好きだったし、
もハオを嫌ってるふうじゃなかったし。
むしろ、何だか納得してしまった。

そうか、もハオが好きだったんか…。

そう思うと、何となく居た堪れない気持ちになる。
深く追求して考えた事はなかったけど、
やっぱり、オイラも心のどこかでを好きだったんだと思う。
それはハオみたいに恋愛感情じゃないのかもしれないけど、
もうは、誰のものでもない、自由な身じゃない。
ただの従兄妹じゃなくなった。
傍目には仲の良い三人に見えても、
もうは、ハオのものなんだ。

改めて考えてみると少し落ち込んでしまった。
そんなオイラを見て、は笑った。

「馬鹿ね。私たちは仲の良い三人よ。これまでも、これからも」

私たちは葉が好きで、大切な家族よ。
だから、葉も私たちを好きでいて、大切にして。

パチンと額を弾かれて、オイラはようやく正気に戻った。
そう、今までと何も変わらない。
オイラたちは、最高の従兄妹で、家族なんだ。

(2008/03/25) 『好き』の質が変わっただけで、『好き』は一生変わらない。




メニュ